韓国大統領選「ザックリ」解説しりぃ~ず2 THADDって一体ナニ?

THAADってなに?

THAAD(サード)とは、アメリカ軍が開発したミサイル防衛装備。敵国のミサイルをレーダーで探知し、迎撃ミサイルを発射します。高い高度で敵のミサイルに直撃させて撃ち落とす防衛システムです。

 

パククネ政権とTHAAD

2016年7月、パククネ政権はこのTHAADを韓国内に配備することをアメリカと約束しました。もし北朝鮮が韓国内に向けてミサイルを撃ってきても、地上に着弾する前に撃ち落とせるようにするためです。しかしこれに中国とロシアが反発。特に中国では韓国製品の不買運動など、露骨な反発が起こりました。そういった外交状況もあり、パククネさんの政権のうちに配備を進めることができませんでした。次の大統領がこの配備をするかどうか、最終的な判断をすることになりそうです。

 

中国はなぜ怒る?

ところで、なぜ守るための装備であるTHAADに中国やロシアは反発するのでしょう。その理由はTHAADに搭載されているレーダーにあります。THAADのレーダーは非常に高性能で、レーダーが探知できる距離はなんと1000㎞。これは東京から釜山までのおおよその直線距離にあたります。韓国への配備が実現すれば、北朝鮮全域がこのレーダーの監視下に入ります。しかしそれだけにはとどまりません。中国やロシアの一部もこのレーダーで監視できるのです。そのため、中国やロシアは自国の核能力が抑制されるとして反発しているのですね。

 

大統領候補とTHAAD配備

外交的に大きな問題を抱えるTHAAD。大統領選でも大きな争点となっています。当初THAADに賛成していたのは、旧与党だった自由韓国党のホン・ジュンピョさんと、正しい政党のユ・スンミンさん。この選挙の「二強」とされている、共に民主党のムン・ジェインさんと国民の党のアン・チョルスさんはTHAAD配備には反対の姿勢をとっていました。

しかし、最近になって北朝鮮はまたミサイルを発射。アメリカは空母を朝鮮半島に向かわせるという強硬姿勢をとっています。この緊迫する北朝鮮情勢の中で、ムンさんとアンさんもTHAAD配備に賛成の姿勢に。当初からTHAADに賛成していた候補は、ムンさんとアンさん両候補の急な政策転換に「一貫性がない」と批判しています。一方、左派政党のシム・サンジョンさんは唯一、いまだTHAADに反対しています。

今後、アメリカと北朝鮮をめぐり情勢はさらに変化していくでしょう。それに伴って、大統領選挙でも支持率や政策に動きがあるかもしれません。北朝鮮と大統領選、どちらからも目が離せません。

ちなみに、北朝鮮情勢で危険にさらされているのは日本も同じ。「日本もTHAADを導入したほうがいいのでは?」という声も上がっています。実際に今年1月には稲田防衛大臣がアメリカでTHAADの視察を行いました。

今の日本には、二種類のミサイル迎撃システムがあります。一つはイージス艦から発射されるSM3。もう一つがPAC3(パックスリー)と呼ばれるものです。もしもミサイルが発射された場合、イージス艦がまず迎撃ミサイルを発射し、それが外れた場合、最後の砦としてPAC3が迎撃する仕組みです。

THAADはこの二つ(イージス艦とPAC3)の中間の距離での迎撃を得意とします。ですから、もしTHAADが日本に導入されたら、イージス艦→THAAD→PAC3の3段構えでミサイルを迎撃できるわけですね。

実はこのTHAADに導入されている高性能レーダーは、すでに日本(青森と京丹後)に装備されており、ミサイルが飛んでこないか監視しています。北朝鮮のミサイル開発が進み、不安が募る日本。3つ目の防衛システムとして、THAADが導入される日も近いかもしれません。

 

http://www.huffingtonpost.jp/ian-armstrong/thaad-china_b_11763794.html

http://www.sankei.com/politics/news/161226/plt1612260010-n1.html

http://www.army-technology.com/projects/thaad

韓国大統領選「ザックリ」解説しりぃ~ず2 候補者の政策まとめ

そもそも誰が出てるの?

5月に行われる注目の韓国大統領選挙。今回は各候補者の政策についてです。もう知っている人も多いかと思いますが、まずは誰が立候補しているのかもう一度おさらいしてみましょう。候補者は、おもな政党の代表を含めた15人。その中でも主な5つの政党の代表者5名が有力な候補とされています。

今の選挙状況は?

そしてその5人の中でも特に支持率が拮抗しているのがこの2人。ムンジェイン候補とアンチョルス候補です。

4月14日に行われた韓国ギャラップによる世論調査では、ムンジェイン候補が40%、アンチョルス候補が37%とまさに「二強」。今まで首位を独走していたムンさんにアンさんが追い付いてきました。北朝鮮情勢が悪化する中、革新系のムンさんが大統領になるのを防ごうと、パククネさんの元支持者らを含む保守層の票がアンさんに流れてきたとみられています。

 

ムンさんって何者?

ではこのムンさんとアンさん、いったいどのような人なのでしょうか。

ムンさんは革新系の最大政党「共に民主党」の候補者。前回2012年の大統領選にも立候補し、パククネさんとの一騎打ちに僅差で敗北した過去があります。また、かつての大統領、ノムヒョンさんを大統領府で支えてきた人物でもあります。ノムヒョンさんは北朝鮮に融和的だったので、ムンさんも北朝鮮に対して融和的なのではないか、と言われています。

 

ムンさんの政策は

そんなムンさん、どのような政策を掲げているのでしょうか。

北朝鮮に対しての政策を見てみましょう。やはり融和的と言われているだけあり、当初から韓国の余った米と北朝鮮のレアアースを交換する、といった北朝鮮との協調を重視した政策を掲げていました。しかし、最近では北朝鮮情勢が悪化。強硬的な姿勢も見せつつあるようです。

経済対策では、国が主体となった政策が目立ちます。韓国が抱える問題の一つである失業問題。失業対策としてムンさんは公務員の採用を増やすなど、「公共の雇用で81万人の雇用を生み出す」と公約に掲げています。今後重要となってくるIoT産業など新しい発展「第四次産業革命」の後押しも、政府主導で企業の成長を引っ張る姿勢を見せています。

 

アンさんって何者?

ではもう一人の有力候補。アンさんはどんな人なのでしょう。

アンさんは中道系の政党「国民の党」の候補者。実はベンチャー企業の経営してきた経歴があり、「韓国のビルゲイツ」とも呼ばれています。その企業運営の経験からか、政策も「民間が中心になって、政府はあくまでサポートに徹する」といった要素が強いです。

 

アンさんの政策は?

では具体的な政策を見ていきましょう。

北朝鮮に対しては、アンさんはムンさんよりも強硬な姿勢。アメリカとの同盟を強化し、北朝鮮への制裁を強めていくと述べています。

ムンさんとアンさんで最も違いがはっきりしているのはやはり経済政策といえます。アンさんの場合は、ベンチャーを起業する人材を10万人育てることで雇用を創出。中小企業やベンチャーへの融資を行い、民間が中心となって経済成長や第四次産業革命をリードしていくビジョンを描いています。

また、教育の改善にも力を入れています。韓国は受験戦争が激しい社会。小中高の学校編成を変えて教育の質を上げる政策を掲げています。

 

THAADとは

もう一つこの選挙で争点となっているのが、「THAAD(サード)」の配備の是非です。「THAAD」とは、北朝鮮のミサイルを迎撃する軍事装備のこと。

パククネさんが大統領時代にアメリカと協議して韓国における配備を決めましたが、まだ配備されていません。このTHAAD配備について、北朝鮮に加え中国やロシアは快く思っていません。そのため外交的な緊張を招くとして、ムンさん、アンさんともにこのTHAAD配備には反対してきました。しかし、アメリカの空母が朝鮮半島に接近するなど北朝鮮情勢が悪化。最近になりアンさん、ムンさんともに一転してTHAAD配備に賛成しました。

 

気になる日本への対応

そして日本に住む身としては、やはり次の大統領が日本に対しどのような態度をとるのかも気になりますよね。特に、パククネさんが大統領時代に日本と結んだ「慰安婦問題をめぐる日韓合意」について、新大統領がこの合意を認めない可能性が心配されています。

実はこの日韓合意、ムンさんアンさん含めた立候補者5人全員が「再交渉」が必要または「無効」との見解を出しています。ちなみにこの合意は「最終的かつ不可逆的」な解決との文言があり、次の大統領が再交渉を求めても、日本政府がそれに応じるのかは疑問が残ります。

 

ほかの候補者たちは?

このほか、立候補しているのはパククネ政権時代の与党「自由韓国党(旧セヌリ党)」のホンジュンピョさん(支持率7%)、セヌリ党から離脱した議員らが作る「正しい政党」のユスンミンさん(支持率3%)、そして最左派「正義党」のシムサンジョンさん(支持率3%)。

THAADについて、ホンさんとユさんは元与党ということもあり、THAADには最初から賛成していました。そのため途中から賛成に立場を変えたムンさんとアンさんを批判しています。逆にシムさんは一貫してTHAAD反対の立場をとっており、主要候補では唯一の反対派です。

経済政策については、ホンさんは労働組合の改革に力をいれ、ユさんは科学技術や産業界を中心にした「革新成長」をに力をいれると述べています。シムさんは財閥の世襲廃止、ベーシックインカムなどの改革に取り組むと掲げています。

 

さいごに

この選挙の争点の一つはやはり、北朝鮮やアメリカ、そして日本を取り巻く外交問題でしょう。しかし、状況は刻々と変化しています。この先まだまだ候補者の政策や支持率の動きがあるかもしれません。5月9日の選挙当日まで選挙から目が離せませんね。

 

메인

바른정당

http://www.libertykoreaparty.kr/intro.jsp

http://www.mindan.org/front/newsDetail.php?category=0&newsid=23126

韓国大統領選「ザックリ」解説しりぃ~ず2 韓国大統領はなぜ強い?

韓国の大統領に世界が注目

パクさんの罷免から数週間。韓国大統領選挙が近づいています。北朝鮮とアメリカの緊張が高まる中、次の韓国大統領が誰になるのか、世界から注目が集まっています。

そもそも韓国の大統領ってどんな役職なのでしょうか。

「韓国の一番偉い人やろ?」

確かにそれはそうですが、じつは韓国の大統領は、アメリカのトランプさんや日本の安倍さんよりもずっと強い権力を持っているんです。

一般的に、多くの大統領には大統領令や法案の拒否権といった強い権力があります。トランプさんが就任直後に中東の人々をアメリカに入れないようにした大統領令は話題になりましたよね。韓国大統領も、限定的ではありますが大統領令を出すことができます。

ちなみに、次の選挙で19回目ですが、韓国では選挙の回数を「第〇回」ではなく、「第〇代」と数えるそうです。日本の有名ダンス・ボーカルユニットの三代目〇 Soul Brothersみたいですね。

次の「K Seoul President」が誰になるのか、目が離せません。

そういえば韓国って首相もいたやんな?

ちなみにいま、韓国の大統領の仕事を行っているのはファンギョアン首相です。同じ大統領制でもアメリカと違い、韓国には首相がいるんですね。しかし普段、首相は大統領を補佐する役割に過ぎず、実質的な権限は大統領にあります。韓国の首相は、日本でいえば副総理(麻生さん)や官房長官(菅さん)あたりでしょうか。

大統領に弱点はあるん?

そのかわり多くの国の場合、大統領は議会に口を出しにくいという弱点もあります。アメリカでも、実はトランプさんが議会を訪れることができるのは年に数回。一方、韓国は日本のように閣僚が議員も兼任できるため、その弱点が薄いのです。つまり、大統領の強い権力がありながら、議会にも影響力があるということですね。

韓国大統領ならではの権限も

また韓国大統領にはアメリカ大統領や日本の総理大臣にはないような、独自の権限も存在します。その代表が「戒厳令」。戒厳令は法律の効力などを一時的にとめることができ、議会や行政を軍の統治下に置くことができる非常に強い命令です。韓国ではこの戒厳令を使って軍がクーデターを起こしてきた歴史があります。

このように韓国の大統領はほかの国と比べても強い権限を持っていると言えます。

なんですね。

韓国で大統領という職を5年間やり抜くと、お疲れさまでした、ということでめちゃくちゃ老後が安泰します。すこし大げさかもしれませんが「最高の福利厚生」レベル。

ただし、任期途中で罷免などによって退任した元大統領は、大統領警護室による身辺警護のみ受けるほか、退任後に禁固以上の刑が確定した場合は、全ての礼遇が剥奪されちゃいます。当然と言えば当然ですね。

このような強大な権力を持つ韓国大統領。その巨大な権力にあやかろうと、財閥トップなど権力者からの賄賂が問題視されています。実際に歴代の大統領やその親族の多くは収賄の容疑で逮捕されてきました。朴さんの場合も、一般人の友人が政治にかかわっていたり、サムスンのトップから賄賂を受け取ったりしていました。朴さんの罷免もこの強大な大統領権限と密接に関わっていたのです。

まとめ

これほど大統領の権限の強い韓国ですから、次の大統領が誰になるか、というのは韓国の将来を大きく左右する一大事なんですね。POTETOは5月から実際に韓国へとび、現地取材をする予定です。ぜひ次の記事もチェックしてみてくださいね。

各国の大統領権限

韓国大統領の持つカードの多さがわかります。

 

参考

http://www.lec-jp.com/h-bunka/item/v2/wtr/04.html

韓国大統領選「ザックリ」解説しりぃ~ず2 韓国大統領ってナニモノ?

来月にせまった韓国の大統領選挙。北朝鮮とアメリカの緊張が高まる中、日本国内でも次の韓国大統領選挙に注目があつまっています。今回はそんな韓国大統領選挙のあんな疑問やこんな疑問を「ざっくり」解説しちゃいます!

 

そもそもなんで朴さんは罷免されたん?

この大統領選挙、本当は今年の12月に行われる予定でした。それが5月に早まったのはご存知、前の大統領のパククネさんが大統領の職を罷免されたからです。裁判所が出した判決によると、パクさんが罷免された大きな理由は「大統領の地位と権限の濫用」でした。具体的には友人であるチェスンシルさんが政治にかかわっていたことや、サムスンのトップから賄賂を受け取っていたことがそれにあたります。この疑惑が裁判に発展し、罷免されるまでに至ったのには、国民の大規模なデモが議会を後押ししたからともいわれています。

 

どんな選挙なん?

韓国の大統領選挙が行われるのは、5月9日。大統領は、5年に1度行われる選挙で国民が直接選びます。大統領を選ぶことができるのは、19歳以上の韓国国民。最多数の票を獲得した一人が次の大統領です。投票が終わり次第すぐに開票され、9日の22時~23時ころには次の大統領が発表されると予想されています。韓国大統領候補になるには、40歳以上の韓国人ならだれでもOK。

 

誰が出るん?

今回出馬しているのは、各政党の代表を含めた15人。しかし実際には有力な二人の候補の「二強」といわれています。北朝鮮に融和的な革新系政党「共に民主党」のムンジェイン候補と、北朝鮮に高圧的な保守政党「国民の党」のアンチョルス候補です。候補者の詳しい政策の比較などは をご覧ください。

 

次の大統領に望むものは?

では、韓国に住む人々は次の大統領に何を求めているのでしょう。韓国の新聞が今年1月に行った「あなたはどんな大統領を望みますか」という世論調査によると、一位は「クリーンな大統領」(33.2%)でした。大統領の不正が続く韓国での政治家への不信感が垣間見えます。

 

選挙の争点は?

いかにクリーンなイメージを持ってもらえるかも重要ですが、政策の面では何が注目されるのでしょうか。実は韓国は日本以上の格差社会といわれていて、教育や就職で激しい競争が社会問題となっています。国内政策では、高い失業率や教育格差といった持てる者と持たざる者の「分断社会」をどう正すかが注目されるでしょう。また、この数か月で北朝鮮情勢も悪化。北朝鮮に対しどんな政策・態度をとるかも重視されそうです。

 

参考

韓国の有権者が望むのは「クリーンな大統領」 世論調査で判明

http://www.huffingtonpost.jp/2017/03/09/park-geun-hye-impeachment_n_15270832.html

第一回投票結果

現地時間4/23に投票が行われたフランス大統領選挙。第一回目の投票では、マクロン氏とル・ペン氏が首位に立ち、決選投票へ進むことになりました。

フランスにおける二大政党の統一候補が共に敗れる、史上類稀な結果になりました。

これらの2名(フィヨン氏とアモン氏)は決選投票ではマクロン氏を支持することを発表しました。

これで、マクロン氏の勝率が非常に高くなっています。

マクロン氏の勝利に弾みがついたことで、5週間ぶりの対円相場においてもユーロ高が発生。(ルペン氏の活躍に期待して円とユーロをまだ交換していなかったことが悔やまれました😭)

決選投票は5月7日に行われます。

https://www3.nhk.or.jp/news/special/frenchpresident2017/

第一回投票速報

開票速報:投票終了直後(日本時間4月24日午前3時現在)

出口調査なので、数値が変動する可能性もありますが、どの候補も過半数を獲得することは不可能な見込みになりました。

この後、得票率が最も高かった2人の候補者で、5月7日の決選投票を迎えることになります。

現状を見る限り、フランスの2大政党の候補者である、共和党フィヨン氏と社会党アモン氏が、一次投票で脱落するという、フランス政治上でも例を見ない展開になる可能性が高くなっています。

アモン氏は、敗北演説の中でマクロン氏への投票を呼びかけました。

フランスの新聞Le mondeより

Macron : 23,7 %

Le Pen : 21,7 %

Fillon : 19,5 %

Mélenchon : 19,5 %

]http://www.lemonde.fr/election-presidentielle-2017/live/2017/04/23/presidentielle-2017-resultats-analyses-reactions-suivez-la-soiree-du-premier-tour-en-direct_5115904_4854003.html?utm_campaign=Echobox&utm_medium=Social&utm_source=Facebook#link_time=1492963674

フランス大統領選「ザックリ」解説シリーズ第四弾 候補者紹介

フランス大統領選挙「ザックリ」解説シリーズ。第四弾は「大統領候補ついて」。 

本日、日本時間では15時から投票が始まった大統領選挙。実際にしのぎを削っているのは11名の候補者。 その中でも特に、決選投票進出が見込まれている4人の候補者についてご紹介します。 

今回、決選投票に向けて接戦を繰り広げているのは以下の4候補。メランション、マクロン、フィヨン、ルペンです。彼らの支持率は皆20%前後で拮抗。誰が決選投票に進むか、本当に予測が難しくなっています。

前回、前々回でお話しましたがフランスには

①失業、②社会保障、③移民難民、④ユーロに関する課題が積み重なっています。

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そして、それらの社会課題を背景に

①グローバル化を進める=親EU的な政策をとるか、フランス第一で反EU的な政策を進めるか。

 

②政府による介入をふやすリベラルな政策=左派的な政策を進めるか、できるだけ自立を促し政府の役目は小さくする自由主義的な政策=右派的な政策を進めるか

この2つが大論点になっています。 そして、これらの論点別に候補者のスタンスを整理すると、こうなります。 

 

メランション

まずは急進左派の左派党メランション。簡単に言ってしまえば、彼は社会主義者です。 EUとの関係においては、「今のEUでは、民衆は銀行や大資本に服従させられている」と主張してEUの基本条約の見直しを訴えています。EUの憲法であるリスボン条約の再交渉を公約としているほか、IMFやNATOからの脱退も掲げており、保護主義的な経済を目指しています。

 国民の全員に年間6週間のバケーションを義務付けるべきと主張し、労働時間短縮を訴えるほか、富裕層課税強化と、最低賃金大幅アップなど、庶民にうれしい公約を打ち出しています。アメリカでいうサンダースのような方で、とにかくリベラル志向です。

 彼が支持を4月にはいってから大幅に伸ばしているのには、彼のカリスマ性にあるようです。トークが非常に巧みで4月初めのテレビ討論後に急激に人気を伸ばしました。演説時に、古代ギリシャやルネサンス、フランス革命について語り、興奮した民衆は「レジデスタンス」と叫びながら歓声をあげるそうです。 

 

マクロン

次に、世論調査でほかの候補者を少しだけ上回ってきた中道無所属のマクロン。彼は有力候補の中で唯一のまともなEU推進派となっています。 

元経済大臣で労使双方を配慮した雇用政策が目立ちます。また、4人の中で唯一ロシアのプーチン政権を批判しています。 

ただ、強い姿勢をみせる他の候補者に対し、マクロンは中道を攻めているため、「あらゆる問題に対してあいまいだ」と他候補から集中砲火を浴びました。

 また、彼の人気はルペンなどほかの候補者の台頭も原因かもしれません。マクロンはとにかく中道です。自分の票を死票にしたくないと考える有権者たち。右すぎる政策は嫌だ、でも左が勝つかわからない、じゃあ真ん中に投票しよう。 ルペンやメランションの人気が高まるなか、その二人だけは嫌だ!という人々がマクロンを支持にまわっています。

決選投票に進めば政治の安定を求める保守票の獲得が彼に集まると考えられます。 39歳と非常に若く勢いがあり、ゲイとの不倫疑惑のデマが流されるという苦難も乗り越え、現在1位の有力候補です。

 

フィヨン

サルコジ前大統領のときには首相を務め、当初もっとも支持を集めていた中道右派の統一候補フィヨン。中道右派の統一候補を決める予備選ではサルコジ前大統領等の有力候補を退け勝利。実直な人柄と清廉潔白なイメージによって支持を集めていたフィヨンですが、司法当局から公金横領などの疑いで訴追され、支持率を大幅に落としました。

 テロ対策など国境警備の強化を訴え、移民入国の制限も提案していますが、経済的には自由主義者で、EUについては経済面では肯定的、社会面では否定的です。小さな政府で財政再建を訴え、歳出の削減や公務員の削減、定年の引上げ等を挙げています。

 彼は4候補の中で唯一、主要政党である共和党から出ており、スキャンダルでダメージをうけたものの、主要政党らしく盛り返しています。 スキャンダルにより干されたこともあって、フィヨン支持はちょっと表明しづらいらしく、隠れフィヨン支持者によって票が伸びることも考えられます。 

 

ルペン

国民戦線の党首で、言わずもがな最大注目候補のルペン。お父さんが作った極右政党を引き継ぎましたが、極右のイメージを払拭するためにお父さんを党から除名、大衆政党へと支持を拡大しました。お父さんは人種差別者と称されることもありましたが、ルペンはあくまで「フランスの繁栄」を前面に訴えるナショナリストで、人種差別者ではないようです。

彼女はEU離脱を訴えています。通貨・立法・国境管理・経済の4つの分野において国の主権を取り戻す交渉をEUと行い、EU離脱を問う国民投票を実施するとしています。 移民難民が自由に入ってこないような入国管理や、公務員の予算削減を訴える中での警察の予算増額など、安全保障について強い主張をしています。 

経済に関しても保守的で、「フランスの自由」のために、小さな政府寄りの発想をしています。移民難民への予算を削減して、フランス人への社会保障を満たすというロジックを建てているところが、フランスのトランプと称される謂れです。

20日夜に発生したパリの銃撃事件が第一回投票を目前にして起こったことで、彼女の票は伸びるかもしれません。トランプ大統領もインタビューで「パリ銃撃はフランス大統領選に多大な影響があるだろう」との認識を示しました。

そんな4候補者ですが、世論調査による現在の順位は、21日の時点で、1位マクロン、2位ルペン、3位フィヨン、4位メランションとなっています。

http://www.parismatch.com/La-presidentielle-en-temps-reel

第一回目の結果は日本時間、4月24日の午前には判明する見通しです。 ヨーロッパや世界の行く末を大きく左右する今回の選挙。果たして決勝戦に進むのは、誰と、誰なのでしょうか。 

明日の朝のニュースから目が離せません。

Fin.

フランス大統領選「ザックリ」解説シリーズ第三弾 論点について

フランス大統領選挙「ザックリ」解説シリーズ。第三弾は「フランス大統領選の争点について」。

今回のフランス大統領選には大きく2つの論点があり、それぞれに大きく2つの立場があります。

 各候補者を「グローバル派とナショナリズム派」、「左派と右派」に大別してみていきましょう!

 みなさんはどっち派? 

最初の論点はグローバル化に賛成?反対?

EUと共に発展しようというのが前者。フランスだけで発展しようというのが後者です。 それぞれの意見をまとめてみていきましょう。 

グローバル派は、フランスの発展はEUとともにあると考えています。

EUは「人」「モノ」「サービス」「金」を共有しています。

確かに「人」の共有で、移民難民の流入はあるけど、「モノ」「サービス」「金」を共有してるから、フランス製品めっちゃ売れる!売る場所ある!経済全体として発展できる! こんな考えを持っています。 

ちなみにリスボン条約の発効の際に欧州理事会のヘルマン・ファン=ロンパイ議長は、 

「27の加盟国は、文学、芸術、言語のいずれも異なる。そして、それぞれの国に多様性がある。多様性は、私たちの財産、発展、力の源である。EUは寛容と尊厳の模範であり、また、そうでなければならない」と述べました。

グローバル派はEUの理念も達成しようという人々でもありますね! 

次にナショナリズム派の考えを紹介します。ナショナリズム派はEUで行動するよりも、フランスが一国で活動したほうがフランスの発展のためになると考えています。 それは「人」をEUと共有することのデメリットが大きいと考えているからです。 

参照:フランス大統領選「ザックリ」解説シリーズ第二弾 フランスの社会課題について

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フランス人が払った税金をなぜ移民や難民のために使わなければいけないのか。移民に仕事を奪われる。EUの国々からの人の流入を止めたい。フランスはフランス人のための政治をするべきだ。

このような「人」の流入に関する不満があります。

また、「金」の共有に関しても批判的な意見があります。

 EUの加盟国はお金に関する政策を自分の国で勝手に決めることができません。みんなで発展していこうという考えのEUにおいて、フランスはEU内の経済力のない国々のためにお金を負担しなければいけないのです。

 なぜ自分たちの労働の結晶が浪費国の赤字を埋めるのに使われなきゃいけないのかという不満があるのです。 実際EUのお蔭で発展している部分もあれば、苦しくなって部分もあるのは事実。 

さあ、みなさんはどっち派でしょうか? 

次の論点は経済・社会政策について、リベラル?保守?

「右派」「左派」の言葉の発祥地でもあるフランス。 フランス人は割と自分の政治的ポジションが左右ではっきり分かれているそうです。政治家はそれに合わせてあえて自分を「右」や「左」とラベリングするとか。 

さてそんな左右ですが、それぞれの考え方について触れていきましょう。

リベラルの考え方は大きな政府によって、政府がいろいろな面倒をみてあげようというものです。 

そうして、自分たちの人生を自由に生きるための政策を実行することを目指しています。

 例えば、労働時間を減らして自由な時間を増やそう!働かなくても最低限生活に必要なお金を支給しよう!大麻をOKにしよう!同性婚を認めよう!

 このような政策を思索しているのがリベラルの政治家です。 

保守の考え方は 小さい政府によって、ひとりひとりが自立して生きていけるような政策を実行しようというものです。 

政府が何でもかんでも面倒を見てくれるなんて、お金がかかる!税金が沢山必要なんだよ?いいの?嫌でしょ?もっと税金減らそうよ!

 一生懸命頑張った人はどんどん豊かになるのが良い。稼げば稼いだだけ税金(所得税)が増えたらそりゃあ稼ぐ気にならないじゃないか。

 それに、何でもかんでも自由にしちゃうのもよくない!自立して生きていくためには、規律ある社会の方が素敵だ。

 それに、何でもかんでも「変える」時には、変わる前に幸せだった人たちが不幸せになるかもしれないんだよ?今、そんなにみんなは不幸せかい?同性婚とか、大麻とかそういうのをOKにするなんてナンセンスだよ。 

このような考えが保守の考えです。 

弱者の救済も大事だけど、自立して生きていくことも大事。

みなさんはどっち派?

 

そして、縦軸にグローバル化に賛成か反対か、横軸に社会・経済政策においてリベラルか保守かをおいてグラフにすると、このようになります。

さらに主要候補と言われる人たちをグラフ上においてみましょう。

極右政党といわれる国民戦線FNの党首ルペン、急進左派の左派党メランション、社会党のアモン、中道右派の統一候補で共和党のフィヨン、無所属だが勢いのあるマクロン。それぞれの位置がわかります。

今までの右と左の軸のみでは語ることのできなくなった今回のフランス大統領選挙。右と左という横軸に加えて、グローバリズムとナショナリズムという縦軸が考えられます。

大国フランスがもしEUを離脱したらどうなるのだろうか。EUそのものの崩壊も危ぶまれるかもしれません。逆に、EUが向かう先に明るい未来はあるのか。

 元々フランス人がもっていた自分が右か左かという感覚に加えて、グローバリズムかナショナリズムかという争点はそれぞれの候補者の論調を複雑化しています。 

どの大統領が生まれるかによって、当然フランスの行く末は「大きく」変化します。

 みなさんだったら、どんな選択を取りますか? 

Fin.

 

参考

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/eu/ecb_gaiyou.html

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol53/

http://www.maff.go.jp/j/kokusai/kokusei/kaigai_nogyo/k_seisaku/eu.html

http://diamond.jp/articles/-/84630?page=3 http://newsphere.jp/world-report/20150708-1/

http://note.masm.jp/%B6%A6%C4%CC%C7%C0%B6%C8%C0%AF%BA%F6/

https://www3.nhk.or.jp/news/special/frenchpresident2017/