フランス大統領選「ザックリ」解説シリーズ第四弾 候補者紹介

フランス大統領選挙「ザックリ」解説シリーズ。第四弾は「大統領候補ついて」。 

本日、日本時間では15時から投票が始まった大統領選挙。実際にしのぎを削っているのは11名の候補者。 その中でも特に、決選投票進出が見込まれている4人の候補者についてご紹介します。 

今回、決選投票に向けて接戦を繰り広げているのは以下の4候補。メランション、マクロン、フィヨン、ルペンです。彼らの支持率は皆20%前後で拮抗。誰が決選投票に進むか、本当に予測が難しくなっています。

前回、前々回でお話しましたがフランスには

①失業、②社会保障、③移民難民、④ユーロに関する課題が積み重なっています。

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そして、それらの社会課題を背景に

①グローバル化を進める=親EU的な政策をとるか、フランス第一で反EU的な政策を進めるか。

 

②政府による介入をふやすリベラルな政策=左派的な政策を進めるか、できるだけ自立を促し政府の役目は小さくする自由主義的な政策=右派的な政策を進めるか

この2つが大論点になっています。 そして、これらの論点別に候補者のスタンスを整理すると、こうなります。 

 

メランション

まずは急進左派の左派党メランション。簡単に言ってしまえば、彼は社会主義者です。 EUとの関係においては、「今のEUでは、民衆は銀行や大資本に服従させられている」と主張してEUの基本条約の見直しを訴えています。EUの憲法であるリスボン条約の再交渉を公約としているほか、IMFやNATOからの脱退も掲げており、保護主義的な経済を目指しています。

 国民の全員に年間6週間のバケーションを義務付けるべきと主張し、労働時間短縮を訴えるほか、富裕層課税強化と、最低賃金大幅アップなど、庶民にうれしい公約を打ち出しています。アメリカでいうサンダースのような方で、とにかくリベラル志向です。

 彼が支持を4月にはいってから大幅に伸ばしているのには、彼のカリスマ性にあるようです。トークが非常に巧みで4月初めのテレビ討論後に急激に人気を伸ばしました。演説時に、古代ギリシャやルネサンス、フランス革命について語り、興奮した民衆は「レジデスタンス」と叫びながら歓声をあげるそうです。 

 

マクロン

次に、世論調査でほかの候補者を少しだけ上回ってきた中道無所属のマクロン。彼は有力候補の中で唯一のまともなEU推進派となっています。 

元経済大臣で労使双方を配慮した雇用政策が目立ちます。また、4人の中で唯一ロシアのプーチン政権を批判しています。 

ただ、強い姿勢をみせる他の候補者に対し、マクロンは中道を攻めているため、「あらゆる問題に対してあいまいだ」と他候補から集中砲火を浴びました。

 また、彼の人気はルペンなどほかの候補者の台頭も原因かもしれません。マクロンはとにかく中道です。自分の票を死票にしたくないと考える有権者たち。右すぎる政策は嫌だ、でも左が勝つかわからない、じゃあ真ん中に投票しよう。 ルペンやメランションの人気が高まるなか、その二人だけは嫌だ!という人々がマクロンを支持にまわっています。

決選投票に進めば政治の安定を求める保守票の獲得が彼に集まると考えられます。 39歳と非常に若く勢いがあり、ゲイとの不倫疑惑のデマが流されるという苦難も乗り越え、現在1位の有力候補です。

 

フィヨン

サルコジ前大統領のときには首相を務め、当初もっとも支持を集めていた中道右派の統一候補フィヨン。中道右派の統一候補を決める予備選ではサルコジ前大統領等の有力候補を退け勝利。実直な人柄と清廉潔白なイメージによって支持を集めていたフィヨンですが、司法当局から公金横領などの疑いで訴追され、支持率を大幅に落としました。

 テロ対策など国境警備の強化を訴え、移民入国の制限も提案していますが、経済的には自由主義者で、EUについては経済面では肯定的、社会面では否定的です。小さな政府で財政再建を訴え、歳出の削減や公務員の削減、定年の引上げ等を挙げています。

 彼は4候補の中で唯一、主要政党である共和党から出ており、スキャンダルでダメージをうけたものの、主要政党らしく盛り返しています。 スキャンダルにより干されたこともあって、フィヨン支持はちょっと表明しづらいらしく、隠れフィヨン支持者によって票が伸びることも考えられます。 

 

ルペン

国民戦線の党首で、言わずもがな最大注目候補のルペン。お父さんが作った極右政党を引き継ぎましたが、極右のイメージを払拭するためにお父さんを党から除名、大衆政党へと支持を拡大しました。お父さんは人種差別者と称されることもありましたが、ルペンはあくまで「フランスの繁栄」を前面に訴えるナショナリストで、人種差別者ではないようです。

彼女はEU離脱を訴えています。通貨・立法・国境管理・経済の4つの分野において国の主権を取り戻す交渉をEUと行い、EU離脱を問う国民投票を実施するとしています。 移民難民が自由に入ってこないような入国管理や、公務員の予算削減を訴える中での警察の予算増額など、安全保障について強い主張をしています。 

経済に関しても保守的で、「フランスの自由」のために、小さな政府寄りの発想をしています。移民難民への予算を削減して、フランス人への社会保障を満たすというロジックを建てているところが、フランスのトランプと称される謂れです。

20日夜に発生したパリの銃撃事件が第一回投票を目前にして起こったことで、彼女の票は伸びるかもしれません。トランプ大統領もインタビューで「パリ銃撃はフランス大統領選に多大な影響があるだろう」との認識を示しました。

そんな4候補者ですが、世論調査による現在の順位は、21日の時点で、1位マクロン、2位ルペン、3位フィヨン、4位メランションとなっています。

http://www.parismatch.com/La-presidentielle-en-temps-reel

第一回目の結果は日本時間、4月24日の午前には判明する見通しです。 ヨーロッパや世界の行く末を大きく左右する今回の選挙。果たして決勝戦に進むのは、誰と、誰なのでしょうか。 

明日の朝のニュースから目が離せません。

Fin.