韓国大統領選「ザックリ」解説しりぃ~ず2 THADDって一体ナニ?

THAADってなに?

THAAD(サード)とは、アメリカ軍が開発したミサイル防衛装備。敵国のミサイルをレーダーで探知し、迎撃ミサイルを発射します。高い高度で敵のミサイルに直撃させて撃ち落とす防衛システムです。

 

パククネ政権とTHAAD

2016年7月、パククネ政権はこのTHAADを韓国内に配備することをアメリカと約束しました。もし北朝鮮が韓国内に向けてミサイルを撃ってきても、地上に着弾する前に撃ち落とせるようにするためです。しかしこれに中国とロシアが反発。特に中国では韓国製品の不買運動など、露骨な反発が起こりました。そういった外交状況もあり、パククネさんの政権のうちに配備を進めることができませんでした。次の大統領がこの配備をするかどうか、最終的な判断をすることになりそうです。

 

中国はなぜ怒る?

ところで、なぜ守るための装備であるTHAADに中国やロシアは反発するのでしょう。その理由はTHAADに搭載されているレーダーにあります。THAADのレーダーは非常に高性能で、レーダーが探知できる距離はなんと1000㎞。これは東京から釜山までのおおよその直線距離にあたります。韓国への配備が実現すれば、北朝鮮全域がこのレーダーの監視下に入ります。しかしそれだけにはとどまりません。中国やロシアの一部もこのレーダーで監視できるのです。そのため、中国やロシアは自国の核能力が抑制されるとして反発しているのですね。

 

大統領候補とTHAAD配備

外交的に大きな問題を抱えるTHAAD。大統領選でも大きな争点となっています。当初THAADに賛成していたのは、旧与党だった自由韓国党のホン・ジュンピョさんと、正しい政党のユ・スンミンさん。この選挙の「二強」とされている、共に民主党のムン・ジェインさんと国民の党のアン・チョルスさんはTHAAD配備には反対の姿勢をとっていました。

しかし、最近になって北朝鮮はまたミサイルを発射。アメリカは空母を朝鮮半島に向かわせるという強硬姿勢をとっています。この緊迫する北朝鮮情勢の中で、ムンさんとアンさんもTHAAD配備に賛成の姿勢に。当初からTHAADに賛成していた候補は、ムンさんとアンさん両候補の急な政策転換に「一貫性がない」と批判しています。一方、左派政党のシム・サンジョンさんは唯一、いまだTHAADに反対しています。

今後、アメリカと北朝鮮をめぐり情勢はさらに変化していくでしょう。それに伴って、大統領選挙でも支持率や政策に動きがあるかもしれません。北朝鮮と大統領選、どちらからも目が離せません。

ちなみに、北朝鮮情勢で危険にさらされているのは日本も同じ。「日本もTHAADを導入したほうがいいのでは?」という声も上がっています。実際に今年1月には稲田防衛大臣がアメリカでTHAADの視察を行いました。

今の日本には、二種類のミサイル迎撃システムがあります。一つはイージス艦から発射されるSM3。もう一つがPAC3(パックスリー)と呼ばれるものです。もしもミサイルが発射された場合、イージス艦がまず迎撃ミサイルを発射し、それが外れた場合、最後の砦としてPAC3が迎撃する仕組みです。

THAADはこの二つ(イージス艦とPAC3)の中間の距離での迎撃を得意とします。ですから、もしTHAADが日本に導入されたら、イージス艦→THAAD→PAC3の3段構えでミサイルを迎撃できるわけですね。

実はこのTHAADに導入されている高性能レーダーは、すでに日本(青森と京丹後)に装備されており、ミサイルが飛んでこないか監視しています。北朝鮮のミサイル開発が進み、不安が募る日本。3つ目の防衛システムとして、THAADが導入される日も近いかもしれません。

 

http://www.huffingtonpost.jp/ian-armstrong/thaad-china_b_11763794.html

http://www.sankei.com/politics/news/161226/plt1612260010-n1.html

http://www.army-technology.com/projects/thaad